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【読書】フランソワ・ボワイエ著『禁じられた遊び』感想



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少年時代の思い込み


先日、映画『禁じられた遊び』を観た感想を書きました。

その後、原作小説を読んだので今日はその感想などを書きます。

kindle化されてなくて、また文庫本も絶版でしたので、古本を手に入れました。

私がまだ子供の頃に書店で良く見かけたのがこの角川文庫版です。

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感想に入る前に一つだけいいでしょうか。

この本のタイトルである『禁じられた遊び』。

恥ずかしながら、私は子どもの頃からずっと、この<禁じられた遊び>というワードが表しているのは、情事だとかエロスのことだと思っていました。

表紙の写真も何となくそんな感じに見えませんか?

表紙の男の子と女の子が何かイケナイ遊びにはまっていく。

そんなことを想像していたものです。

勘違いも甚だしいですよね。

本の裏表紙とかに作品の簡単なあらすじや紹介が書いてあればそんな勘違いをしなくて済んだのですが・・・。この本にはそれがありません。

無知とは罪なことですね。

感想


さて、本題に入りましょう。

この先ネタバレもあります。

映画と原作小説とでは細かい部分での違いはありますが基本的なプロットは途中までは殆ど一緒です。ただ、やはり小説の方が登場人物が置かれた状況や心境がより理解できるようになっていると感じました。

小説ではポーレットの年齢が9歳に引き上げられていますね(映画では5歳)。これは結構大きな変更ポイントだと思います。5歳だと今で言えば例えば保育園の年中さんだし、9歳だと小学3年生ですからね。出来ることや行動力、発想力が比べ物になりません。ちなみに、ミシェルの年齢設定は小説も映画も殆ど同じようですが。

ポーレットの気を惹く余りに、彼女の言いなりになって振り回されてしまうミシェル。でも、好きな子に気に入られるために無理してしまうこのミシェルの気持ち、分かるような気がします。それまで、ミシェルの周りには同い年位の女の子がいなかったのですから。夢中になるのは仕方がないなと。

映画と決定的に違うのは結末です。

何と、映画と違って原作でのミシェルは死んでしまいます。教会の礼拝堂のてっぺんにある十字架を取ろうとして失敗し、墜落死してしまうのです。それまで彼が十字架を弄んだ報いであるかのように・・・。

ポーレットは原作では孤児院に送られることはありません。死んだミシェルを独りで弔った後、物語の始めに出てきた大通りを目指して歩き出すところでこの作品自体が終わります。

すっきりとしない終わり方であることには変わりありません。ミシェルの死は救いの無さを感じさせますね。戦災孤児となったポーレットもこの先も運命に翻弄されていくのでしょう。

そのように考えると、映画版の結末の方がまだ救いがあるのかな。ポーレットと引き裂かれ、約束を簡単に破られながらもミシェルは死なずにいる。ただ、ポーレットと過ごしたこの短い間の出来事が後の人生に大きな影響を与えそうですが。ポーレットは最後の最後で、これまで麻痺していた感情が一気に溢れ出す描写が追加されたことで、彼女が<ママがもういない>、<ミシェルがいない>こと、つまり<死と孤独>を理解できたように描いていたと思います。