はじめに
感想を書くのが遅くなりましたが、去る12月9日に歌舞伎版『風の谷のナウシカ』を観て来ました。
このキービジュアルが目印です!!
開演が午前11時で、終演午後8時40分!!!
朝から晩までの長丁場だったので、正直疲れました(笑) 歌舞伎を見ること自体が始めての経験でしたので、変に緊張もしていたんだと思います。
途中数回の幕間を除くと、昼の部と夜の部を合わせると6時間以上にもなる超大作でした。1日経ってもまだ興奮冷めやらぬ状態で、上手く言い表すことが出来ないのですが、とにかく圧巻で、最初から最後まで<ナウシカ>でした。
歌舞伎版『ナウシカ』を観ようと思った理由
ずばり、原作漫画を完全上演するから!
これにつきます!
漫画版『ナウシカ』全7巻分をやるって聞いた瞬間に、「あ、これは絶対に観なきゃ!」と思いました。
2時間のアニメ映画版『ナウシカ』ではなく、敢えて原作漫画版をやるというところに、制作スタッフの本気度を感じた次第。
映画版と漫画版は全くと言っていいほど別物です。
原作者の宮崎駿氏はこれまで原作漫画版『ナウシカ』の映像化・舞台化を一切認めてこなかった。だから、今回の新作歌舞伎が最初で最後の機会かも知れないと思ったからです!!
そんなこんなで、しばらくしてからキービジュアルが公開されました。
少し前には舞台稽古が公開されました。
賛否両論あるのは認めますよ。
「シュールだ」、「歌舞伎への冒涜だ」、「コメディにしか見えない」という意見もありましたが、一方では「歌舞伎という制約がある中で、新しいナウシカを作り上げた」、「下手に実写化されるよりは、現実離れし過ぎているけど歌舞伎の方もこれはこれでいい」という意見もみかけました。
私は後者です。
ナウシカ(尾上菊之助)の負傷
この作品は12月6日から新橋演舞場にて公演が始まりましたが、12月8日の公演の昼の部のラスト近くで、ナウシカ役を演じる尾上菊之助さんがカイ(トリウマ)から花道に落下してしまうというアクシデントが発生し、その日の夜の公演は中止となってしまいました。
12月9日以降の公演はどうなってしまうのか?
結論から言えば、尾上菊之助氏は左肘を亀裂骨折していたとのこと。
ですが、翌12月9日から一部演出を変更して、上演再開となったのです!!
感想
映画でお馴染みのテーマ曲「風の伝説」を和楽器が奏で、もうそれだけで涙腺が緩み、一気に『ナウシカ』の世界にトリップしました。当たり前ですが、これは歌舞伎です!! まずは独特な台詞の言い回しが新鮮で、一言も聞き逃すまいと、耳を集中しました。同時に役者さんの独特な動きにも目を奪われましたが、割とすんなりと物語の世界に入っていくことが出来ました。とは言え、原作の内容が頭に入ってないと辛いと思います。原作を1、2回しか読んでない方はイヤホンガイドを使いましょう(イヤホンガイドについてはまた後ほど)。小道具・大道具も凄くて、特に腐海のセットや王蟲、巨神兵、ガンシップ、そしてメーヴェの造形の見事なこと、見事なこと!!
舞台セットや映像をバックに役者さんたちがそれぞれのキャラクターを演じていく訳ですが、これだけは言わせて下さい! 中村七之助さんが演じるクシャナ殿下が貫禄あって、綺麗でカッコ良過ぎて、マジにクシャナだった! 誤解を恐れずに言えば、ナウシカよりも主人公感あった。
そして尾上菊之助さんが演じるナウシカ。女性らしさ感じる発声や仕草が素敵でした。世界の運命を独りで背負い、悩みながらもそれを見極めんとする少女ナウシカを見事に演じていたと思います。骨折故に左手の動きは殆どなく(恐らく固定されていたと思われます)て、メーヴェの宙乗りシーンも削られていたようですが、その素晴らしいナウシカっぷりに引き込まれてしまいました。
これから観る方にアドバイス
原作漫画は読んでおいた方がいい!
作品の内容を知っているのと知らないのとでは、楽しめる度合いが全然違いますので!
イヤホンガイドを利用しよう!
原作のストーリーが頭の中にあっても、イヤホンガイドがあった方が歌舞伎をもっと楽しめます!
昼と夜の部は日を分けて!
私も「どうせなら!」という勢いで通しチケットを買っちゃったのですが、昼夜と通しで観るのは相当疲れますし、集中力にも限界が来ます。もしも次の機会があるのなら絶対に日を分けますね。チケット買っちゃった後にはこれはもうどうにもならないかもしれませんが・・・。
余裕がある人はオペラグラスを用意しよう
場内は意外とコンパクト!私も2階席の前から4列目でしたが、意外と役者さん達の表情の変化も見えます。でも、もっと役者さん達の顔を良く観たいという方、お金に余裕がある方はオペラグラスを準備しておくと更にいいかも!
映画館での上映もあるぞ!!
残念ながら今回歌舞伎のチケットが手に入らなかったという方、そして、もう一度歌舞伎版『ナウシカ』を観たいという方に朗報! 全国の映画館でのディレイビューイングが決定しました。
昼の部を<前編>として、2020年2月14日~2月20日、
夜の部を<後編>として、2020年2月28日~3月5日として、全国の映画館にて上映するとのこと。それぞれ、1週間限定なのですが興味のある方は是非!!
新作歌舞伎『風の谷のナウシカ』ディレイビューイング|ローチケ[ローソンチケット]
終わりに
今回の歌舞伎版を機に原作漫画が再評価・再発見され、新作アニメや実写映画化などの道が開けることを願っています。あ~、でも国内での実写化は止めてね。きっと低予算でストーリー改悪するとか、強引に恋愛要素をぶちこんでくるとか嫌な予感しかしないので。ハリウッド版のナウシカを観てみたいですな。
おまけ
イヤホンガイドについて
歌舞伎を観ることは初めてのことだったので、事前に色々と調べたんです。その時にこのイヤホンガイドというものの存在を知りました。イヤホンガイドはあらすじ・配役・衣装・道具・歌舞伎の約束事などを舞台の動きに合わせてタイミング良く音声で解説してくれるものなんです。私も実際にイヤホンガイドを利用しながら『ナウシカ』を観ました。絶妙なタイミングで解説してくれるし、歌舞伎や作品を理解する助けになります。1回700円(昼の部と夜の部、それぞれ別に申し込みが必要)で利用出来るので、これはオススメです!
上演時間及び幕間
こんな感じです。幕間時間の間にトイレを済ませたり、
食事をしたり、休憩したりするわけです。
歌舞伎美人より引用。
当日撮った写真をいくつか
新橋演舞場正面

芝居の幕開きと終幕に使われる定式幕。
歌舞伎と言えば、この3色ですね。
今回特注したという、タペストリー幕は圧巻!!
ここに『ナウシカ』の世界観の全てがあると言っても過言ではありません!!
このタペストリー柄で何か公演グッズを作って欲しかったなあ。
お土産
公演チラシと筋書(右)。筋書は映画でいうパンフレットのようなものです。
演目の詳細が記されています。1400円でした。
チケットの特典の<チケットホルダー>
歌舞伎と言えば歌舞伎揚!
天乃屋の歌舞伎揚、ビッグサイズです!
テトのぬいぐるみ!!
最初はスルーしてたんですが、場内でこれを肩に乗せてる人がいて、それ見たら無性に欲しくなっちゃいましたww
うちの子は「ポケモン?」と。
確かに、イーブイ感あるwww
劇場グッズは通販もありますよ!!