守護神伝!
今日はドイツのパワーメタルバンド、HELLOWEENの出世作『Keeper Of The Seven Keys:PartⅠ』を紹介します。邦題は『守護神伝-第一章』!! HELLOWEENとの出会いはこの作品から始まりました。私が初めて耳にしたHELLOWEENの曲がここに収録されている「Halloween」なんです。ぶっ飛びましたよ! で、一番最初に買ったヘヴィ・メタルのレコードがこの作品です。それまでにもハードロックのレコード(EUROPEやWHITE SNAKEとか)は数枚買っていましたが、所謂ヘヴィ・メタル/パワー・メタルなアルバムはこれが最初。このアルバムでツインリード(2本のギターによる合奏のこと。左右2本のギターが美しくハモったり、ギターソロの掛け合いをすること)ってものを知りました。で、どんどんパワーメタルにのめり込んで行くことになったと言うワケ。私にメタルの素晴らしさを教えてくれた、個人的にもの凄く思い入れのある作品です。
本作より名ヴォーカリスト、マイケル・キスクが加入して5人編成となりました。キスクはHELLOWEEN加入時は何とまだ18歳だっというから驚きです。彼の加入により、HELLOWEENの楽曲の幅は広がり、よりキャッチーな要素も加わるようになりました。そして、本作と次作『~PartⅡ』によってHELLOWEENはメタルシーンに多大な影響を及ぼし、HELLOWEENタイプと呼ばれるフォロワーバンドもたくさん登場することになりました。
レビュー
HELLOWEEN『Keeper Of The Seven Keys:PartⅠ』(1987年)
(1)Initiation
(2)I'm Alive
(3)A Little Time
(4)Twilight Of The Gods
(5)A Tale That Wasn't Right
(6)Future World
(7)Halloween
(8)Follow The Sign
--expanded edition bonus track-
(9)Victim Of Fate(Michael Kiske Ver.)
(10)Starlight(Michael Kiske Ver.)
(11)A Little Time(Alternative Ver.)
(12)Halloween(Video Edit Ver.)
Produced by Tommy Newton ,Tommy Hansen
Michael Kiske(vo)、Kai Hansen(g)、Michale Weikath(g)、Markus Grosskopf(b)、Ingo Schwichtenberg(ds)
お気に入り度:
★★★★★ ★★★★★(10/10)
(1)Initiation
アルバムの幕開けを告げる、ドラマティックなインスト。やっぱり、このイントロがなきゃ始まらない! アルバムへの期待から来る興奮が最高潮に達した時点で、次の超名曲「I'm Alive」に一気に雪崩れ込んでいきます。
(2)I'm Alive
カイ・ハンセン作の疾走チューン。最初聴いた時、そのあまりのカッコ良さに言葉も出ませんでした。マイケル・キスクはハイトーンヴォイスで親しみ易いメロディを伸びやかに歌い上げていきます。ツインリードを含むギターソロは起承転結という4つのパートに分かれ、その余りにもメロディアスでクサ過ぎる展開は絶品!! このツインリードを聴いて、ヘヴィ・メタルのギターとは、かくも美しいハーモニーを奏でるものなのだということを思い知らされました。
(3)A Little Time
当時は随分と変わった曲だなあと思ったものです。今は大好きな曲ですけど(笑) マイケル・キスク作のミドルチューンで、彼らしい、型に捉われないメタルというかハードロックというか・・・。それでいて、彼のヴォーカルの魅力をさり気なく伝えているなと。ヴィブラートかましまくりですしね! 間奏部分の目覚まし時計の音にビックリしました(笑)
(4)Twilight Of The Gods
カイによるパワーメタルの名曲で、出だしからメジャーキーのギターソロで疾走! スタッカート気味に突っ走るリフも心地好いし、ドラマティックなサビメロではキスクがオペラティックに熱唱! 鬼気迫るギターソロにも注目です!
(5)A Tale That Wasn't Right
ヴァイキー作の哀愁たっぷりのバラードで、メロディといいギターの泣きといい、ヴォーカルといい、まるで演歌の世界。名曲ですな~。
(6)Future World
この曲は彼らのスタンダードですね。カイによる、ポップでキャッチーな明るいメタル! 一聴して覚えられる強烈なサビに、躍動感のあるリズム! これまた名曲なり。
(7)Halloween
13分21秒の超大作! 大作なのに、終始パワーメタル然としており、スローパートもありつつも、基本は疾走チューンと言って差し支えないでしょう。起承転結、緊張感のある場面展開に最後まで飽きさせません。この曲でのキスクの表現力も凄いです。エンディングに向かって怒涛のツインリードが乱舞! そのギターソロのフレーズには有名なブラームスの 「ハンガリー舞曲第5番」が使われていて、悶絶!!
(8)Follow The Sign
アルバムのアウトロ的な短いインスト。『~Part Ⅱ』への橋渡し的な役割の曲で、アルバムのテーマとなっている<7つの鍵>について語られています。
エクスパンディッド・エディションのボーナストラック
2006年にリリースされたエクスパンディッド・エディションではデジタルリマスターが施され、ボーナストラックも追加収録されました。
(9)Victim Of Fate(Michael Kiske Ver.)
カイ・ハンセン時代の曲をマイケル・キスクのヴォーカルで録り直したヴァージョンで、バックも違います。キスクのヴォーカルによって曲のクオリティが数段アップ! 素晴らしいハイトーンヴォイスが炸裂。これは必聴ですよ。名曲やな~。シングル『Dr.Stein』に収録されていました。
(10)Starlight(Michael Kiske Ver.)
これもキスクのヴォーカルによって新たに生まれ変わった曲ですね! オリジナルも曲はいいけどカイのヴォーカルがちょっと残念だったので・・・。これまた名曲!! シングル『Future World』のカップリング曲です。
(11)A Little Time(Alternative Ver.)
こちらもシングル『Future World』のカップリング。オリジナルと曲の構成が若干違います。どういった意図で作られたのかは分かりませんが・・・。
(12)Halloween(Video Edit Ver.)
レコード会社の意向で PV用に短くカットされたヴァージョン。全く有難みがないです!
まとめ
・・・・・・捨て曲無しの名盤とはこういう作品のことを言うのでしょう。ドラマティックな曲展開と親しみ易いメロディは日本人好みですし、オペラティックに歌い上げるキスクの唯一無二のヴォーカルは圧倒的です。メタルでありながらも、非常に聴き易い作品でもあります。「I'm Alive」、「Twilight Of The Gods」、「Futurer World」、そして「Halloween」はまさにカイ・ハンセンの才能が全面開花した名曲です。メロディックスピードメタル/メロディック・パワーメタルの原点とも言うべき歴史的名盤なので、まだ聴いたことがない方には是非聴いて貰いたいと思います。