究極じゃないベスト
現在<PUMPKINS UNITED>ワールドツアー真っ只中のHELLOWEEN。少し前に、日本限定のベスト盤がリリースされました。CD3枚+DVD1枚という大ボリューム。これなら、殆どの名曲は網羅されているだろうし、おまけに未発表曲も入っているし、リマスターされてるし、歴代のPVもまとめて観られるので、ここは一つ記念に購入して、CDの売り上げに協力しようと決めていました。リリース前に解禁されたジャケットも悪くありませんでした。むしろ、好きかも。しかし、収録曲を知って、私は椅子から転げ落ちました!!
「Halloween」が短縮ヴァージョン?
その上、稀代の名曲「Keeper Of The Seven Keys」がオミットされている!?
収録曲は日本のファンの投票によって選出されたとありますが、「Keeper Of The Seven Keys」は省いちゃ駄目でしょう。勿論、「Halloween」はオリジナルヴァージョンを収録すべきでした。せっかく、CD3枚組にして、過去から現在までのHELLOWEENの歴史を総括出来るアイテムだと言うのにねぇ・・・。その2点がクリアされていれば、文字通りの究極ベストだったのに。それが残念で仕方がありません。しかも、今言った2曲はどちらも、現在のリユニオンツアーでも演ってるんだし。
レビュー
HELLOWEEN『Sweet Seductions』(2017年)
お気に入り度
★★★★★ ★★★★(9/10)
「Halloween」のオリジナル・ヴァージョンと「Keeper Of The Seven Keys」が入っていたら、星10個でした!!
アートワーク
バンドが持っているコミカルさとメタル然とした感じが伝わってくるアートワークで、気に入りました。カボチャのバスケットの中には歴代のキャラやマスコットがデフォルメされて登場していますね。ファングフェイスに守護神、良く見ると『Chameleon』ジャケのマークもあります。バンドのロゴのカボチャが棒付きキャンディーになっているのも面白いです。CD及びDVDはピクチャーレーベルですし、歌詞カードのイラストもグッド!
CD収録曲
CD1(1)Walls Of Jericho(2)Ride The Sky(3)Starlight(4)How Many Tears(5)I'm Alive(6)Twilight Of The Gods(7)Future World(8)Halloween[video edit](9)Invitation(10)Eagle Fly Free(11)Dr.Stein(12)March Of Time(13)I Want Out(14)Kids Of The Century(15)The Chance(16)First Time(17)Windmill
CD2(1)Irritation[Weik Editude 112 In C](2)Sole Survivor(3)Where The Rain Grows (4)We Burn(5)Steel Tormentor(6)Power(7)Before The War(8)Push(9)I Can(10)Midnight Sun(11)All Over The Nations(12)Mr.Torure(13)Salvation(14)The Dark Ride(15)Just A Little Sign(16)Hell Was Made In Heaven
CD3(1)The King For A 1000 Years(2)Silent Rain(3)The Saints(4)Final Fortune(5)Are You Metal?(6)World Of Fantasy(7)Nabataea(8)Burning Sun(9)Straight Out Of Hell(10)My God-Given Right(11)Creatures In Heaven(12)Nightmare(13)More Than A Lifetime
残念な点は先に書いたとおりです。他の曲を削ってでも、「Halloween」はフルサイズで入れるべきだったし、「Keeper Of The Seven Keys」は外しちゃいけなかったと思います。元々が13分以上ある「Halloween」を乱暴な編集で5分にエディットしたヴァージョンではこの曲のドラマ性が全く伝わらないと思います。そして、「Keeper~」はヴァイキーの才能が凝縮された、美旋律とドラマ性に拘った大作であり、メタル史上に残る超名曲です。何故入れなかったのか、と担当者を問いただしたい思いで一杯です。これらの2点を除けば、他の選曲は妥当と言うべきか。むしろ、良いと思います。
問題作と言われた『Chameleon』から牧歌的な優しさのある名バラード「Windmill」を入れるあたり、分かってるな~と(笑)。あと、隠れた名曲「Silent Rain」が入っていて嬉しかったです。欲を言えば、カイ・ハンセン時代の名曲「Judas」は入れて欲しかったし、「Starlight」はマイケル・キスクが唄うヴァージョンをチョイスして欲しかったなと。でも、「Halloween」と「Keeper ~」の問題に比べたら些細なことですが。DVDのPV集は何回も観るものじゃないので、いっそのことCD4枚組でパーフェクトベストにしても良かったのでは? そうしたら、「A Tale That Wasn't Right」や「Your Turn」、「Rise And Fall 」なども入ったのに(笑)
未発表曲について
「Nightmare」と「More Than A Lifetime」、2曲の未発表曲が収録されています。共に、アルバム『My God-Given Right』の海外盤のデラックス・エディションのボーナストラックに入っていたもので、マーカス・グロスコフのペンによるものです。どちらもHELLOWEENらしさに溢れた、メロディックな疾走チューンで、ファンであれば押さえて置きたい名曲!
DVD
DVD(1)Halloween(2)I Want Out (3)Kids Of The Century(4)When The Sinner(5)Mr.Ego(Take Me Down)(6)Perfect Gentleman(7)Where The Rain Grows(8)Power(9)The Time Of The Oath(10)Forever And One(Neverland)(11)I Can(12)If I Could Fly(13)Just A Little Sign(14)Mrs.God(15)Light The Universe(16)As Long As I Fall(17)Paint A New World(18)Dr.Stein(19)Are You Metal?(20)Nabataea(21)My God-Given Right
PVはこれまでに、「Halloween」や「I Want Out」位しか観たことがありませんでした。だから、殆どが初めて観るPVでした。しかし、初期~中期にかけてのPVの画質が悪いです。4対3のサイズだし。この頃のPVは内容も構成もお世辞にも素晴らしい出来とは言い難く、何回も観るものではないかなと。初期は結構シュールなPVが多いです。でも、若き日のメンバーの姿が観られるのは嬉しいです。「Just A Little Sign」辺りからは映像も綺麗だし、構成も凝っていて面白いですがね。PV自体はyoutubeで検索すれば、どれもヒットしますよ。
ここで、個人的にお気に入りの7PVを紹介!!
I Want Out
Dr.Stein
オリジナル・ヴァージョンではなく、HELLOWEEN25周年記念の企画アルバム『Unarmed』に収録されたやつです。大胆にもホーンセクションを取り入れ、洒落た雰囲気に再アレンジ。バンドのコミカルな面も強調。緊張感もなく、最初に聴いた時はとてもじゃありませんが、許せませんでした(笑) 今は慣れたけど・・・。アレンジを変えても、名曲は名曲ってことで(笑) PVでは怪しげな実験を繰り返すステイン博士の物語が描写されます。PVとしては完成度が高くて面白いと思います。
Paint A New World
サシャによる、疾走チューンで、ツインギターがとにかくカッコいい曲です。貧困・戦争・環境破壊等の映像を挟んだPVの内容はシリアス!
My God-Given Right
Are You Metal?
「お前はメタルか?」と問いかける(笑)、アグレッシヴな疾走チューン。ゴツゴツした、まるで拘束具や拷問器具を彷彿させるようなヘッドフォンを着けた上に、監禁させられているっぽい3人の女性たち。どうやら、メタル属性じゃないとこの部屋からは脱出出来ないらしい(笑)
Light The Universe
アンディとキャンディス・ナイトのデュエットによるスケール感の大きいバラード。キャンディス嬢が美しい! 7つの鍵の守護神も登場する、ファンタジックなストーリー仕立てのPVです!!
Halloween
最後はこれでしょう。初のPV「Halloween」。レコード会社の指示で、13分の大作をぶつ切りカットで、5分の短縮ヴァージョンにさせられてしまったという残念なPVです。夜の森で演奏するバンド。地面にはお約束のようにカボチャが置かれ、仮装した連中や、ケバイお姉ちゃんが踊るという内容。当時のレコード会社は何でわざわざ13分の曲を短縮してまで、この曲でPV作ろうと思ったのか? ハロウィンというテーマだからなのか? オリジナル・ヴァージョンを愛聴していた私が、最初にこれを見た時に思ったのは、「ふざけるなよ! Fxxk Off!」ってな感じでした(笑) 当時はまだ血気盛んな10代後半でしたから。あれから30年経過した今、改めてこのPVを観て感じることは、やっぱり酷いなと(苦笑) しかし、妙に味のあるPVではないでしょうか。また、バンドに加入直後の、若き日のマイケル・キスク(19歳!!)の堂々たるパフォーマンス振りを観ることが出来るという点では、この映像も貴重かもしれません。
おわりに
30年以上に渡るバンドの歴史が詰まった作品です。これを聴けば、HELLOWEENというバンドの魅力、そして彼らがいかに多くの名曲を作り出してきたのかを、十分に理解することが出来ることでしょう。入門者にも最適なベストです。(しつこいようだが、ある一点、いやニ点を除けば・・・) 最後に、本CDには収録されなかった「Halloween」のオリジナル・ヴァージョンと「Keeper Of The Seven Keys」の音源を貼って、このレビューを終了したいと思います。
Halloween
Keeper Of The Seven Keys