30年目の『Painkiller』
今日は英国のヘヴィメタルバンド、JUDAS PRIESTの、メタル史上に残る名盤中の名盤『Painkiller』アルバムを紹介します!!
JUDAS PRIESTと言えば、ヴェテランもヴェテラン。大ヴェテランですね。
アルバム『Painkiller』は1990年にリリースされました。つまり、今年でリリース30周年となるわけです。
この作品と出会った当時の私はメタルを聴き始めて3年位だったでしょうか。メタル界はパワー・メタルやスラッシュ・メタル全盛期でした。彼らの名前は知ってはいましたが、自分の中ではJUDAS PRIESTは「昔のヴェテランバンド」といった認識でした。同じヴェテランでもIRON MAIDENは一通り聴いていたのですが、何故だかJUDAS PRIESTとは縁がなかったのです。
ある土曜日の深夜、いつものようにbay-fmの『POWER ROCK TODAY』を聴くためにスタンバッていると、スピーカーから突然激しいドラミングが聞こえてきたのです。次いで唸りを上げて疾走するメタリックなギターリフ、そして強烈なメタルヴォイスが炸裂しました。
「何だこれは!?」
ただならぬ雰囲気の中、そう思った時には既にメタルハートを鷲掴みにされ、ファストで激しいキラーチューンにノックアウトされていたのです!! それがJUDAS PRIESTの「Painkiller」との出会いでした。
私はすぐさまメタル友だちのMに電話しました。
私の思った通りでした。友人Mも『POWER ROCK TODAY』を聴いて悶絶していたようです。
私「おい!今の聴いたか!?」
M「これは凄いな・・・!」
私「やばいな!!」
M「やべぇ!やべぇ!!」
電話口の向こうでやつも興奮していました。
これがJUDAS PRIESTか!
そこには若手スラッシュ・メタル勢をなぎ倒さんばかりに迸るエネルギーがありました。私と友人はアルバムを発売日当日に手に入れ、アルバムの全貌を知ることになるのですが、それはまさにメタルゴッドが放つ最高最強のメタル・アルバムでした。最初から最後まで完璧に構築されたアルバムは一分の隙もなく、強烈で、メタラーにとっての最重要アイテムの一つとなったのです。私と友人はアルバムを聴き込み、翌年の来日公演にも参戦しました。
その『Painkiller』アルバムがリリースから30年かぁ。この作品を聴くと当時のことが色々と思い出されて、とても感慨深くなります。あの頃はまだ未成年だったんだよなあ・・・。
レビュー
JUDAS PRIEST『Painkiller』(1990年)
(1)Painkiller
(2)Hell Patrol
(3)All Guns Blazing
(4)Leather Rebel
(5)Metal Meltdown
(6)Night Crawler
(7)Between The Hammer & The Anvil
(8)A Touch Of Evil
(9)Battle Hymn
(10)One Shot At Glory
Produced by Chris Tsangarides
Rob Halford(vo)
Glenn Tipton(g)
K. K. Downing(g)
Ian Hill(b)
Scott Travis(ds)
お気に入り度:
★★★★★ ★★★★★(10/10)
(1)Painkiller
新加入したスコット・トラヴィスによる激しく重厚なドラミングによる強烈なイントロで幕を明け、そこからはひたすらに疾走!ツーバス連打にアグレッシヴなギターリフの応酬、そして空間を切り裂くようなロブ・ハルフォードのシャウト!グレン・ティプトンによる中盤の長いギターソロも鳥肌モノ。いや、失禁モノ。メタルのエッセンスが全て凝縮された超名曲!!30年経った今でも微塵も古さを感じさせないのも凄い。
(2)Hell Patrol
全てを薙ぎ倒して重厚に突き進む、まさに地獄のパトロール!勇壮な曲調にテンション爆上がり!K.K.とグレンによる劇的なツインリードは哀愁さえ感じる!
(3)All Guns Blazing
ロブのアカペラによるヒステリックなシャウトからザクザクと疾走開始。
まさに曲名の如く、全ての銃が火を噴くような強烈な曲で、いつ聴いてもゾクゾクする!
この曲もリフが最高にカッコいい!疾走感溢れるツーバスも聴いていて気持ちいいし、メロディアスなツインリードも感動的!
(5)Metal Meltdown
イントロのK.Kとグレンによる、緊迫感溢れるメタリックなギターソロから疾走していくスラッシーな名曲。間奏でのツインリードの応酬も鬼気迫り、ロブのハイトーン・ヴォーカルは殺人的なだ!まさにメタル・メルトダウン(金属溶解)!
ここからアルバムの後半に突入! アルバムの前半はとにかく攻撃性を全面に押し出した楽曲で占められていたがここからは若干雰囲気が変わる。この「Night Crawler」も然り。様式美と言ったら言い過ぎかも知れないが、とにかくメロディアスで、特に間奏部分のツインリードにはうっとりしてしまう。
(7)Between The Hammer & The Anvil
威厳と重さのあるイントロで、彼らが英国のバンドだと再認識させられる曲。これぞブリティッシュ・ヘヴィメタル!問答無用のカッコ良さで突き進む!クラシカルなフレーズを弾きまくるギターソロも絶品!
(8)A Touch Of Evil
絶え間ない風と鐘の音、そしてシンセによるイントロが妖しい雰囲気を演出。壮大な曲で、ダークで邪悪な雰囲気に満ちているが、エキゾチックでもある。あまりにも叙情的なメロディを紡ぎ出すギターソロには泣くしかない!中低音ヴォイス~高音、そしてシャウトを使い分けるロブの表現力も素晴らしい!
(9)Battle Hymn
アルバムのラストを飾る名曲「One Shot At Glory」へと引き継ぐ、ドラマティックなインスト。
(10)One Shot At Glory
「Battle Hymn」からの流れがたまらない!6分超えの大作だが、哀愁と勇壮に満ちたドラマティックな曲展開が素晴らしい!サビメロも感動的である。K.K.とグレンによるギターソロの応酬も凄いが、その後に待ち受けるツインリードでメタラーの魂が浄化されること必至!まさに、<栄光への一撃>なのだ!
メタル・ゴッドよ永遠なれ!
一言で言えば、これぞ究極のヘヴィ・メタルであるということです!ここにはメタル・ゴッドの意地があります。全ての曲が名曲であり、アルバムの構成も完璧です。ひたすらアグレッシヴに、ハイテンションに畳み掛けるアルバム前半。そして、勇壮でドラマティックな構築美で泣かせにくるアルバム後半。まさにパーフェクト!30年経った今でも、その攻撃性やメタリックなサウンドは全く色褪せることなく燦然と輝いています。これから先もメタラーのバイブルとして君臨していくことでしょう。いや、それにしてもこの時のロブ・ハルフォードのヴォーカル・パフォーマンスは人間業じゃないですね。
最後に。このアルバムは名曲「One Shot At Glory」によって締め括られています。すなわち、<栄光への一撃>。この『Painkiller』アルバムを世に放ったこと、それこそが、メタル・ゴッドであるJUDAS PRIESTの<栄光への一撃>なのです!!
このアルバムを聴かずして、ヘヴィ・メタルを語ることなかれ。