今日は陰陽座のCDを紹介します。
陰陽座とは
陰陽座（おんみょうざ）は“妖怪ヘヴィメタル”をキャッチフレーズにしている日本のヘヴィメタル・バンドです。陰陽座の音楽は人間のあらゆる感情を映す妖怪を題材としています。「妖怪」というコンセプトや和服や平安装束のような衣装に身を包んだメンバーのいでたち。そして、猫にちなんだメンバーの名前。しかし、決して色物ではありませぬ。正統派のヘヴィメタルをベースに「和」の要素を散りばめたサウンド、男女のツインヴォーカル、古語や漢語を多用して妖怪や古の伝承などを題材とした歌詞。我が国が誇る、最高の・唯一無二のメタルバンドなのです。
迦陵頻伽（かりょうびんが）とは
今日紹介するのは、昨年末にリリースした彼らの13枚目のアルバム『迦陵頻伽（かりょうびんが）』。迦陵頻伽（かりょうびんが）とは上半身が人で下半身が鳥の、仏教における想像上の生物で、卵の中にいる時からこの世のものとは思えない程の美声を聞かせる存在らしいです。今回のCDジャケットに描かれているのが迦陵頻伽です！ 実はこれ、バンドのヴォーカルである黒猫が迦陵頻伽に扮したものなのです。非常に美しくて幻想的なアートワークだと思います。
CDを取り出すと、ここにも迦陵頻伽が。少しポーズが違います。
裏ジャケ。
レビュー
陰陽座『迦陵頻伽』（2016年）
（1）迦陵頻伽
（2）鸞
（3）熾天の隻翼
（4）刃
（5）廿弐匹目は毒蝮
（6）御前の瞳に羞いの砂
（7）轆轤首
（8）氷牙忍法帖
（9）人魚の檻
（10）素戔嗚
（11）愛する者よ、死に候え
（12）風人を憐れむ歌
Produced by 瞬火＆陰陽座
黒猫（くろねこ / vo）、瞬火（またたび / vo&b）、招鬼（まねき / g）、狩姦（かるかん / g）
サポートメンバー：土橋誠（ds）、阿部雅宏（key）
お気に入り度：
★★★★★ ★★★★★（10/10）
（1）迦陵頻伽（かりょうびんが）
オープニング曲は壮大なスケールで展開するアルバム・タイトルトラック。迦陵頻伽が卵から孵る瞬間を描いた楽曲。いわゆるヘヴィメタル・チューンではありませんが、黒猫嬢の力強くも美しいヴォーカルが響き渡る名曲であることには変わりありません。
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（2） 鸞（らん）
鸞とは鳳凰と並ぶ伝説の霊鳥。一説には鳳凰が年月を重ねて鸞になるとも言われています。疾走感と高揚感に溢れたメタルチューンで、ここに陰陽座の新たなアンセムの誕生を確信しました。黒猫嬢のヴォーカルが強力！ とにかく、こぶしが回る！ 回る！ エンディング近くのヴィヴラートの応酬には鳥肌が立ちました！
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（3）熾天の隻翼（してんのせきよく）
全弦１音半下げのチューニングで刻まれる硬質でヘヴィなリフで疾走！ 瞬火＆黒猫のツインヴォーカルと、そのバックで炸裂する怒りのデスヴォイス・コーラスの存在感。そしシンフォニックなアレンジも素晴らしい、陰陽座流パワーメタルの名曲。何と言ってもサビメロが超強力！ クールなギターソロの後の転調してからエンディングに向けての展開も劇的！！
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（４）刃（やいば）
和音階をフィーチュアしたミッドチューン。美しさとキャッチーさを兼ね備えた素晴らしい曲です。サビメロが切なさ過ぎるッ。本当に黒猫嬢のヴォーカルは最高です。この表現力は凄いとしか言いようがありません。“魂を抱きしめるヴォーカル”とは良く言ったものです。
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（5）廿弐匹目は毒蝮（にじゅうにひきめはどくはみ）
ヘヴィなリフとデスヴォイス混じりのコーラスに続き、瞬火氏が怪しげなAメロを歌います。黒猫嬢が歌うBメロで急にメロディアスになりサビへ雪崩れ込むという展開。途中のギターソロの構成も最高にカッコいい！！
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（6）御前の瞳に羞いの砂（おまえのひとみにはじらいのすな）
“砂かけ婆”という妖怪は何故、道行く人に砂をかけなければならなかったのか？ この曲は瞬火氏がその理由を乙女心全開で想像して出来上がったそうです。エッジの効いたギターリフと軽快なリズム、オルガンサウンド、そして黒猫嬢のエモーショナルなヴォーカルをフィーチュアした、陰陽座流ハードロック曲！ このサウンド、素直にカッコいいと思いますね！
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（7） 轆轤首（ろくろくび）
2003年にリリースされた彼らの4thアルバム『鳳翼麟瞳』に収録されている「飛頭蛮（ろくろくび）」のアンサーソング。リズムやシンセのアレンジがダンスチューン的なノリなのに、黒猫嬢のヴォーカルは切なく、時に妖しい。こういう方向でも優れた名曲を作れてしまう彼らの才能やセンスには脱帽です。ギターソロの後にちょっとジャジーなピアノパートがあって、ここに「飛頭蛮」のメロディがさり気なく挿入されているのもマニアにはたまりませんッ！ ラストの黒猫嬢の可愛くも妖しい笑い声にやられました。
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（8）氷牙忍法帖（ひょうがにんぽうちょう）
陰陽座流メロディック・スピードメタル！！ これもまたカッコいい、名曲ですなあ。途中で狩姦氏の構築美溢れるギターソロが炸裂します！ 力強さとしなやかさを併せ持つ黒猫嬢のヴォーカルが聴き手の魂を震わせていきます。
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（9）人魚の檻（にんぎょのおり）
７分超えの大作。愛するが故に、人魚の肉を食べさせて妻だけを不老不死にしてしまった男と、不老不死になってしまったことで永劫の苦悩を味わねばならなくなった女の物語です。前半はダークなパワーバラード風。男と女が互いにずれた心情を吐き出すサビのパートは哀しいものがあります。途中からヘヴィかつプログレッシヴな展開も見せます！
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（10）素戔嗚（すさのお）
ヘヴィなリフで幕を明ける、緊張感に溢れたメタルチューン。黒猫嬢の力強いヴォーカルが神懸っています。男共のデスヴォイスとシンガロングとの組み合わせもクール。そして、バックで鳴っているのシンセのアレンジがまたいいです！
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（11）絡新婦（じょろうぐも）
美しくも悲しいバラードです。ここでの黒猫嬢の表現力は凄まじいですね。思わず、身震いしてしまいました。壮絶過ぎる・・・！ ある意味、これも慟哭の世界ですな。
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（12）愛する者よ、死に候え（あいするものよ、しにそうらえ）
アニメ『バジリスク～甲賀忍法帖』の主題歌でもある名曲「甲賀忍法帖」（2005年）はヒロインである朧の視点で描かれた曲ですが、こちらは主人公である甲賀弦之助の視点で描かれた曲とのこと。こちらも名曲です。終始緊迫した曲調といい、ツインヴォーカルの使い方といい、文句なしの素晴らしさ。情感のこもったギターソロも何とも味わい深いです。そして、黒猫嬢の裏声の美しさよ！ これもまた慟哭なり！
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（13）風人を憐れむ歌（ふうじんをあわれむうた）
アルバムの最後を飾るこの曲は爽やかなサウンドと優しい曲調、そしてどこか寂しげなメロディーが心に染み渡りますね～！！
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デビュー以来、彼らの音楽に対しての姿勢は一貫して変わらず。毎回のように素晴らしいアルバムを世に送り出してきました。そして今回も彼らはやってくれました。13作目にして、これだけクオリティの高い楽曲が詰まったアルバム出してくるなんて！ そこには一切の油断も隙もありません。陰陽座の、魂を揺さぶる孤高の楽曲たち。是非聴いてみて下さい！！！
おまけ
アルバムに収録された「愛する者よ、死に候え」と対をなす名曲「甲賀忍法帖」も是非、お楽しみ下さいッ！！
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