Hiroです。
最近、『枕草子』とその作者の清少納言に興味が沸きました。
きっかけは、たられば(@tarareba722)さんの次のツイートを目にしたこと。
①枕草子の第六段は中宮定子と清少納言が下級官僚の家に行き、その家の野暮ったさを清少納言がからかったら定子にたしなめられて、清少納言が「てへっ♡」って笑う感じの内容なんですが、史実を見るとその時期の定子は両親を亡くして兄が失脚し、政治的な後ろ盾が崩れたところで御殿が火事になって、
— たられば (@tarareba722) 2015, 10月 13
②そもそも定子は中宮なのに野暮ったい下級官僚の家に行かなきゃいけないっていう時点で叔父の藤原道長の明らさまな嫌がらせであり、それでもこの段の文面からはそんな政争と凋落の雰囲気は一片たりとも感じられず、ただただ穏やかな笑顔と機知に富んだ会話があるだけです。これはどういうことなのか。
— たられば (@tarareba722) 2015, 10月 13
③そもそも清少納言という人は、父も曽祖父も勅撰歌人という和歌の超名門家に生まれ、彼女自身も勅撰和歌集に選ばれる歌を数多く遺すほどの和歌の達人なわけです。その清少納言が、しかも平安中期という和歌の全盛期に、なぜわざわざそれまでほとんど誰も書いていなかった随筆を書くことにしたのか。
— たられば (@tarareba722) 2015, 10月 13
④それはやはり中宮定子のためだったのだと思います。自分を重用してくれ、しかし一族が政争に敗れ失意のまま24歳で亡くなった美しい姫君のために、自分のありあまる文才を、五七五七七の枠組みから解き放って全力で叩きつけ、美しいまま封印する。そのための随筆であり、枕草子であったと思うです。
— たられば (@tarareba722) 2015, 10月 13
⑤清少納言自身、この随筆が千年後も読まれるとは思っていなかったでしょう。ただ王朝文学全盛期と言えるこの時代に、最高の家柄と最大の才能を持った天才が、ただ一人の姫のために「和歌」という伝統的な様式さえも超えて書いたということが、この歴史的な作品の原動力になったのだなと思います。(了
— たられば (@tarareba722) 2015, 10月 13
『枕草子』!! 『枕草子』は中学・高校の国語で習った覚えがあります。
冒頭の「春は曙~」のくだりは有名ですよね。
当時暗記させられたせいか、この冒頭部分は今でも良く覚えています。
『枕草子』に関して言えば、私はそれが平安時代に清少納言によって書かれた随筆という位の知識しかありませんでした。
宮廷での華やかな生活や体験を元に書かれた随筆ということですが、中高生当時SFや推理小説が好きだった私には興味が持てるはずもなく、このツイート読むまで長い間その存在を忘れていました。
それなのにッ!
「へえーっ! そうなんだ!」
たらればさんの解説に大きく頷いてしまいました。
中宮定子に仕え、最初は華やかだった宮中生活。
しかし、それも長くは続かなかった様子。
数々の不運と不幸が中宮定子を襲うのですから。
『枕草子』が書かれた背景には中宮定子の一族の栄華と凋落があったんですね。
最後まで中宮定子に一途に御仕えした清少納言。
ただ、姫のためだけにその才能を振るった清少納言。
<ただ、姫のためだけに>
もう、この一点で清少納言に対して急に親近感が沸いちゃいました!
近寄り難い天才かと思いきや、実は姫様一途なところが凄く、ものすご~く、
人間くさいじゃないですか!
清少納言って何者?
清少納言に生涯慕われた中宮定子ってどんな方なの?
興味が沸きました。
ツイートを読む前:『枕草子』? 清少納言? 古典とか興味ないんだよね。
ツイートを読んだ後:ナゴンちゃんのこと、もっと知りたい! ←今ココ!
その後のたらればさんとのやり取りの中で、
『姫のためなら死ねる』(きみのためならしねる)という4コマ漫画を教えて頂きました。
この漫画での清少納言は才能はあるけれど引きこもりのニートという設定。
友人の薦めで中宮定子に仕えるべく面接を受け、採用されるのですが、
清少納言は中宮定子に一目惚れ。彼女を変態的に溺愛するようになり・・・。
これが実に面白くて、一気に読んじゃった!
ひたすら中宮定子LOVE!な清少納言ちゃんの宮廷ライフが描かれています。
↓ 竹書房のウェブコミック配信サイトで無料で読むことが出来ます!
単行本も出ています!

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もっとだ!
もっと、『枕草子』や清少納言について書かれた本を読んでみたいッ!!
そう思った私が購入したのが、『枕草子―まんがで読破―』。
こちらは漫画と言えども、史実に基づいた内容になっています。
漫画の良いところは、絵の力を借りて、物語の舞台となる平安時代の華やかで雅な宮中生活がどんなものなのかを具体的にイメージすることが出来るというところ。
そして本作には中宮定子の父・藤原道隆が病で倒れた後に起こる、息子の伊周(これちか)と道隆の弟・道長の政権争いなども描かれています。
清少納言が仕えた中宮定子という方は、大変素晴らしい人格の持ち主のようですね。
兄が政権争いに敗れて失脚したことで、中宮定子の境遇も変わっていくのですが、
何があっても最後まで中宮定子のことを慕い続ける清少納言。
その、姫への一途な想いに感動。
いつの間にか、私は現代語訳付きの文庫本に手を出してしまいました!
流石に原文を読むのは膨大な時間がかかるのでやりませんが・・・。
まだ上巻の現代語訳を読み始めたばかりです。
言葉の意味が分からないこともありますが、原文の頁にある注釈でほぼ解決できます。
現代語訳は読みやすい!
また、静かな環境でじっくりと読むと、これが意外に面白いのです。
共感できる部分も多いです。
自然も人の世の営みも、千年を経ても、何ら変わるものではないということですね。
驚くべきは、清少納言の鋭い観察力と色彩豊かな描写力!
有名な第一段にそれが凝縮されています!!
春は、曙。やうやう白くなりゆく、山ぎはすこし明かりて、紫だちたる雲のほそくたなびきたる。「新版 枕草子 上巻」角川ソフィア文庫より引用
<現代語訳>
春は曙。ようやくあたりも白んでゆくうち、山の上の空がほんのり明るくなって、紫がかった雲の細くたなびいた風情。「新版 枕草子 上巻」角川ソフィア文庫より引用
<私の感想>
春は曙が良いってことですよね! そうそう、確かに夜明けってこんな感じ!
不思議と紫がかってるんですよ、雲が! それが凄く美しいんだよね。
夏は、夜。月のころはさらなり、闇もなほ、蛍の多く飛びちがひたる。また、ただ一つ二つなど、ほのかにうち光りて行くも、をかし。雨など降るも、をかし。「新版 枕草子 上巻」角川ソフィア文庫より引用
<現代語訳>
夏は、夜。月のあるころはもちろん、月のない闇夜でもやはり、蛍がたくさん乱れ飛んでいる風情。また、ほんの一つか二つ、ほのかに光って飛んでゆくのも、趣がある。雨など降るのも、趣がある。「新版 枕草子 上巻」角川ソフィア文庫より引用
<私の感想>
夏と言えば夜なのか~。趣があるのは夜だよね~。蛍が光っているのはとても綺麗だし、感動するよね。雨? 私は夏の夜の雨は好きじゃないけど。
秋は、夕暮。夕日のさして、山の端いと近うなりたるに、烏の、寝どこへ行くとて、三つ四つ二つなど、飛び急ぐさへ、あはれなり。まいて、雁などのつらねたるが、いと小さく見ゆるは、いとをかし。日入り果てて、風の音、虫の音など、はた、言ふべきにあらず。「新版 枕草子 上巻」角川ソフィア文庫より引用
<現代語訳>
秋は、夕暮。夕日がさして、もう山の頂に落ちかかろうとするころ、烏がねぐらに帰ろうとして、三つ四つ二つと思い思いに、帰り道を急ぐ姿までも、哀れを誘う。ましてや、雁などの列を作ったのが、小さく小さく空の遥かをわたって行くのは、とても趣がある。日が落ちてしまってからの、風の音、虫の音など、これはもう改めて言うまでもない。「新版 枕草子 上巻」角川ソフィア文庫より引用
<私の感想>
うん、うん。分かる~! 秋と言えば夕暮れですよね! 美しい夕暮れを見ると、日本に生まれて良かったなーって思えるんだ。それに秋はどこか物悲しくてメランコリックな気持ちになれるから、四季の中では秋が一番好きかな。過ごしやすいしね。風の音や虫の音なども、趣があるよね。
冬は、つとめて。雪の降りたるは、言ふべきにもあらず、霜のいと白きも、またさらでも、いと寒きに、火など急ぎおこして、炭持てわたるも、いとつきづきし。昼になりて、ぬるくゆるびもていけば、炭櫃火桶の火も白き灰がちになりて、わろし。「新版 枕草子 上巻」角川ソフィア文庫より引用
<現代語訳>
冬は早朝。雪の降ったのは、改めて言うまでもなく、霜が真白におりているのも、また、そうでなくても、ひどく寒い朝、火などを大急ぎでおこして、炭を御殿から御殿へ運んで行くのも、いかにも冬の早朝の景としてふさわしい。昼になって、気温が暖かくゆるんでゆくと、炭櫃や火桶の火も白く灰をかぶってしまって、みっともない。「新版 枕草子 上巻」角川ソフィア文庫より引用
<私の感想>
寒い早朝はいつまでも布団に包まっていたいけど、冷たくて澄んだ朝の空気は嫌いじゃないかも。それに、雪が降っていると、まるで別世界のような景色なので気持ちもワクワクしてくるよ。今の時代、炭櫃や火桶は使わないから火が白く灰をかぶってみっともない姿をさらし出すことはないけれど、その代わり、昼になって気温が上がった時に雪や霜が溶けてぐちゃぐちゃになってしまう様子が思い浮かんだよ。
こんな感じです!!
どうですか?
清少納言の観察力と色彩豊かな描写力が少しでも伝わったでしょうか。
私はこの随筆が千年以上も前に書かれたということに驚きを隠せないでいます。
最後まで読むのにはまだまだ時間がかかりそうですが、
じっくりとそこに書かれている情景を楽しみながら読んでいきたいと思います。
学生の頃は面白さが理解できませんでした。
今面白く読めて、作品に共感することが出来るのは、もしかしたら、自分が年をとり、
その間に色々な人生経験をしてきたからかも知れませんね。
そもそも、当時は興味すら持てなかったですし。
もし、古典の先生がたらればさんのように『枕草子』を紹介してくれたら、
また違ったのかも知れませんが。
まさかこの歳になって『枕草子』に興味を持ち、作品の面白さを実感することが出来るなんて、
考えたこともありませんでした。
人生、本当に何がきっかけで、新しい発見があるか分かりませんよね。

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枕草子―付現代語訳 (下巻) (角川ソフィア文庫 (SP33))
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