今でも覚えているプリプリとの出会い。
「ROMANCIN' BLUE」。
それがプリプリに興味を持つきっかけだった。
実際に曲を聴いた訳じゃなく、ただその言葉の響きが美しいなと思った。
ROMANCIN' BLUE・・・
ロマンシン・ブルー・・・
それは1988年にまで遡る。
メタルにどっぷりと浸かりはじめた高校2年の時期。
邦楽やJ-POPは殆ど聴かなくなった時期でもある。
今はどうなのか知らないが、当時はクラスの中でもメタルを聴くやつは少数派だった。
そんな中、クラスの男子共の多くがことあるごとに「プリプリ」という言葉を連呼していた。
「プリプリ最高!」
「だよな! プリプリの新しいCDサイコー!」
最初、私には彼らが一体何の話をしているのかさっぱり分からなかった。
が、CDと言っていることから、プリプリというアーティストが新作を出したのかな位は想像がついた。
はて?
プリプリ?
何だよ、プリプリって(笑)
ま、俺メタルしか興味ないから。
やがて、そのプリプリというのはプリンセス プリンセスの略称であることを知る。
で、クラスの中にモトキという奴がいた。
奴は面白いやつではあったが、かなり自己中なやつでもあったので、正直関わるのは面倒くさいやつだった。
そのモトキも新作CDを聴いて興奮したのか、周囲の連中にプリプリプリプリ言っていて、私は聞き流していたのだが、そのうちロマンシン・ブルーという言葉が私の耳を捉えた。
ロマンシン・ブルーか・・・いい響きだなと思った。
ロマンシン・ブルー・・・
ロマンス・・・
ブルー・・・
ROMANCIN' BLUE・・・
とても美しい響き。
こんなにも美しいタイトルなのだから、さぞかし曲も美しいに違いない!
モトキは繰り返し叫んでいた。
「ROMANCIN' BLUE最高だよな!」
そして、何とモトキはやつの机にもシャーペンの先を使ってガリガリと「ROMANCIN' BLUE」と刻み付けたのだ!
凄ぇな! どんだけ、好きなんだよ!?
モトキの行為は私の記憶にも「ROMANCIN' BLUE」を刻み付けた。
今だったら、スマホで「ROMANCIN' BLUE」の音源をすぐにチェックすることが出来るが、ネットが無い当時ではそんなことは不可能であった。
モトキにCDを借りれば良かったのかも知れないが、何故だかそういう発想にはならなかった。
後日、中学時代の友人と会った時にプリプリを知っているかと聞いてみたら、CDを持っていると言う。
早速、貸してもらった。
モトキイチオシの「ROMANCIN' BLUE」が収録されている『HERE WE ARE』という題されたプリンセス プリンセスの2ndアルバム。
私は「ROMANCIN' BLUE」にしか興味はなかったが、せっかく借りたのだから、曲は飛ばさないでとりあえず最初から順に聴いていくことにした。
信じられなかった!
1曲目の「19 GROWING UP-ode to my buddy-」を聴き終える頃には、私は彼女達の虜になっていたのだ!!
強烈だな!!
クラスの男共が騒いでいる理由も分かった気がした。
2曲目、3曲目・・・とどんどんのめり込んでいった。
聴いて良かった。
プリプリ最高じゃねーの!!
とにかく全部の曲が最高だった。
だが、その中でも「ROMANCIN' BLUE」は別格だった。
イントロの美しくて悲しげなピアノの音を聴いた瞬間に、これはやばいと確信。
しかも、Aメロの終わりから急にハードロックな展開に!
この曲の歌詞に出てくる、主人公の苦しくて熱い胸の内が一気に放出されていくかのようなハードなギターソロ。
曲をよりドラマティックに彩る、透明なキーボードサウンドも切ない。
「ROMANCIN' BLUE」という言葉の響きが突き刺さった私の感性に間違いは無かった。
そして、プリプリを知るきっかけをくれた彼にも感謝しなければ。
モトキ君、ありがとう。
お元気ですか?
「ROMANCIN' BLUE」を収録したアルバム『HERE WE ARE』のレビュー記事はこちら!