覇道明王!!
陰陽座のニューアルバム『覇道明王』が発売になってから1週間が過ぎました。
この1週間というもの、ずっとこのアルバムを聴き込んでいましたが、
実に!
実に! 実に! 実に素晴らしい作品であります。
以前『BURRN! JAPAN』に掲載されたメンバーのインタビューを読み、メンバーの新作に対しての確固たる自信は誌面からもビシバシと伝わって来ましたが、実際にCDを聴いてみて、本当に凄い内容に心の底から歓喜の叫びが込み上げてくる次第です!
これは早くも、今年のベスト・アルバム候補となるか!!
アルバムタイトルも、何度も連呼したくなるくらいカッコいいですよね!
覇道明王!!
初回限定盤はスリーブケース付で、フォトブックレット封入です。
このキャッチコピーに書いてありますね。
無敵・無双のアルバム、と!!
こちらがフォトブックレットです。
アートワークの覇道明王の存在感!
レビュー
陰陽座『覇道明王』(2018年)
(1)覇王
(2)破邪の封印
(3)以津真天
(4)桜花忍法帖(覇道MIX)
(5)隷
(6)腐蝕の王
(7)一本蹈鞴
(8)飯綱落とし
(9)鉄鼠の黶
(10)無礼講
Produced by 瞬火&陰陽座
黒猫( vo)、瞬火(vo/b)、招鬼(g)、狩姦(g)
サポートメンバー:土橋誠(ds)、阿部雅宏(key)
お気に入り度:
★★★★★ ★★★★★(10/10)
(1)覇王(はおう)
不気味なピアノ、そして遠くから聞こえてくる黒猫嬢のヴォイス。
瞬火氏の咆哮が合図となり、渾然一体となって畳み掛けてくる強靭無比なリフ!!
ヘヴィでメタリックな上に、その独特のグルーヴ感にただただ圧倒されます。
ABメロを瞬火氏が歌い、デスヴォイスも登場するので前半はまさに漢(おとこ)メタルなのですが、サビで黒猫嬢の神懸かったファルセット・ヴォイスが、まるで暗雲を払う一筋の光のように現れる瞬間はゾクゾクします。
これぞ、陰陽座!
(2)破邪の封印(はじゃのふういん)
で、「覇王」のエンディングからこの「破邪の封印」に雪崩れ込んでくる訳なのですが、ここで更にヴォルテージが上がります!
スピーディーかつキャッチーな、これまた瞬火節・黒猫節全開の名曲なのです。
力強さと美しさを兼備えた黒猫嬢の歌唱力は本当に素晴らしいです。
(3)以津真天(いつまで)
陰陽座流スラッシュ・チューン来た!
ちょっとSLAYERあたりを彷彿させる、印象的なリフが刻まれていきますが、そのスラッシーなリフに対する黒猫嬢の歌メロが民謡調なところが不思議な雰囲気を醸し出しています。
演奏もヴォーカルも素晴らしい!!!!
(4)桜花忍法帖(覇道MIX)
そして、既にシングルでリリースされた、TVアニメ『バジリスク~桜花忍法帖~』の主題歌!
コンパクトでキャッチーな楽曲でありながらも、切なさに満ちたドラマティックなこの名曲を別ミックスで収録しています!
シングル・ヴァージョンと大きな違いはないものの、低音が増しているので、より迫力ありという感じでしょうか。
(5)隷(しもべ)
メロデス風の疾走リフで展開していく大作。
このリフがまたカッコいいんですよね~。
迫力のデス・ヴォイスと轟音の後には黒猫嬢の美声によるサビがきて、突然視界がパーッと開けるような感じです。
間奏部分ではインダストリアル・ミュージック的な無機質感を出してきたり、かなり面白い構成の曲です!
(6)腐蝕の王(ふしょくのおう)
民謡風のイントロと黒猫嬢の叙情的なサビメロで始まるスピーディーな曲です。
これも凄く良い曲で、サビの部分のリズミカルな歌い回しが新鮮でなかなか興味深い!
曲が進むにつれてどんどん熱を帯びてくる黒猫嬢のヴォーカルも最高!!
名曲ですな!
(7)一本蹈鞴(いっぽんだたら)
重厚なリズムで突き進んでいくミッドチューンで、そこそこ展開の多い大作。
Aメロは瞬火氏が漢(おとこ)臭いヴォーカルを、Bメロでは黒猫嬢が民謡風ヴォーカルを披露していきます。
間奏部分ではまず狩姦氏がブルージーなギターソロを、ついで招鬼氏がワウ・ギター・ソロを、そして最後は瞬火氏がワウ・ベース・ソロを炸裂させます。
この3人のソロパートが、実にカッコいい!!
ミッドチューンでこれだけ聴き応えのある曲を作れてしまうのはさすがです。
(8)飯綱落とし(いづなおとし)
怒涛の疾走チューン!!
これまで「卍」・「神鳴忍法帖」・「氷牙忍法帖」で語られてきた、無敵の強さを誇る女忍者の物語第4弾。
「氷牙忍法帖」ではこの主人公は自分が所属している組織に抗い、組織を抜けるのですが、今回は抜け忍となった彼女に追っ手が差し向けられ、しかもその追っ手が飯綱落としの使い手だったという内容らしいです。
曲としても凄くカッコいいですし、何よりも強烈なファルセットを交えながら縦横無尽に歌い上げる黒猫嬢のヴォーカルが圧巻です。
(9)鉄鼠の黶(てっそのあざ)
6分50秒の大作ですが、長さを感じさせない優れた構成で展開していきます。
インストパートはプログレッシヴ・ロック的なアプローチを見せますね。
しかし、難解さはなく、メロディアスでドラマティックです。
瞬火氏と黒猫嬢のツインヴォーカルも聴き惚れてしまいます!!
(10)無礼講(ぶれいこう)
ヘヴィでありながら縦ノリでロックンロール色の強い曲。
歌詞を聴けば分かるように、これはまさに陰陽座のライヴの光景を描いた曲ですね!
とにかく楽しい!
ライヴで演奏されている光景が頭に浮かんできますもの!!
アルバムを締めくくるのにふさわしい一曲!!
まとめ
前作『迦陵頻伽』はそれまでの陰陽座の集大成という内容で、幅広い音楽性に富んだ陰陽座流ヘヴィ・メタルの楽曲が詰まっていました。
それに対して、本作はどこを切ってもメタル然とした、言わば陰陽座の核となるヘヴィ・メタルという部分に焦点を当てた楽曲のみで構成された、熱い鋼鉄音楽のアルバムとなっています。
通算14作目のアルバムでなお一切の衰えを見せずに、新しい名曲を次々と生み出していく彼らには脱帽するしかありません。
間違いなく、現時点での彼らの最高傑作と言えるでしょう。
また、初めて彼らの音楽に接してみようと思っている方にとっても、陰陽座の魅力が凝縮されたこの作品は入門するのにもベストと断言することができます。