MOTORHEADのフロントマンである、レミー・キルミスター(vo/b)の生き様を追いかけたドキュメンタリー作品です。本編117分+特典映像47分。
最初に言っておきますが、私はMOTORHEADの熱心なファンと言うわけではありませんでした。お気に入りの曲はありますし、大昔に一度だけ来日公演に行ったことはあります。あれは、1991年のことです。アルバム『1916』リリース直後でした。
コンスタントにアルバムを出して、ツアーに出ていることは「BURRN!」誌やネットで得る情報で知ってはいましたが・・・。
このDVDを友人から借りたのは昨年の12月半ばのことでした。とても面白くて、DVDを観終わった時にはレミーのことが好きになりました。
そんな矢先に飛び込んできた、レミーの訃報。
マジかよ!?
唖然としました。
去年、FUJI ROCKフェスに来てたよね!?
12月26日に病気(癌)のことを知らされて、その2日後に自宅でレインボーのゲームをしている時に亡くなったとのこと。享年70歳でした。レインボーというのは、レミーの自宅の近くにあるバーの名前です。レミーはそこのTVゲームを自宅に持ち込んでプレイしていたそうです。
本作は35年以上に渡ってMOTORHEADを牽引してきた、ロックンロールの生ける伝説レミーを3年に渡って密着取材したドキュメンタリーです。2010年(日本では2011年)にリリースされました。
ちっとも極悪じゃねえ!!
DVDを観てまず思うこと。それは、タイトルに偽りありじゃねえかってこと!
ロックンロールの帝王レミーは悪<ワル>に見えて、実は凄く紳士なのです。
我が道を行く生き方をしていますが、義理と人情に厚い男、いや、“漢” なのです。
強面なようで、実は温厚で優しい人柄なのですね。
人に対しての姿勢も非常に謙虚であるのが分かります。
そして、彼のロック一筋の生き様は男でも惚れ惚れしてしまいます。
この作品には様々なミュージシャン達が登場してレミーについて語っていますが、皆非常にレミーをリスペクトしているのがビンビン伝わって来ます。
インタビューでも<あなたのモットーは?>と聞かれて、
「自分が人にされて嬉しいことをする」
「自分がしてもらいたいことをする」と語るレミー。
インタビューの中で特に印象的だったのは、“死” について語る時のレミーの何とも言えない表情。レミーはまだ若い頃から周りの友人たちや恋人がドラッグの過剰摂取で亡くなる姿を見て、幾度となく死というものに直面してきました。また、近年の彼はペースメーカーを入れたり、病気が原因でツアーを休むこともあったらしいので、年齢的なことも合わせて、死の訪れがそう遠いことではないという自覚はあったのかもしれません。
インタビューでレミーは、「死ぬならステージ上で陶酔して死にたい」、「病床でチューブにつながれるのはごめんだ」と語っています。ステージ上でという願いは叶いませんでしたが、自宅で大好きなTVゲームをプレイしている最中に息を引き取ることが出来たのは、せめてもの救いかと。ある意味、幸せな最期じゃないでしょうか。
他に印象に残った場面をいくつか。
METALLICAとの共演ライヴの映像!! これはマジ凄い。
METALLICAメンバーもレミーの前では、まるでメタルキッズのようなはしゃぎっぷり。
うんちくをたれながら戦車に乗るレミー!!
彼は大の軍事マニアで自宅にも戦車の模型や膨大な短刀や剣のコレクションがありましたが、本物のドイツ戦車に乗って最高の笑顔を見せてくれます!
ちなみに、38式軽駆逐戦車ヘッツァーです。
(あ、『ガルパン』に出てきたやつだ!!)
本物の戦車は凄い迫力です!!
<一番の宝物は?>と聞かれて、「息子」と即答するレミー。ちなみに、息子も作品に登場しますが、彼もレミーの口からそのような答えが出るとは思ってもみなかったようです。
ロックと女とタバコ、そしてコーラのジャックダニエル割りを愛した男レミー。
今はどうか安らかに。
いや、あの世でもリッケンバッカーのベースを轟音で搔き鳴らしているのでしょうね、きっと。
ロックが好きな方に是非観て欲しい作品です。
極悪レミー [Lemmy the movie] オフィシャルWebサイト
↓レミーとMOTORHEADの名(迷)エピソードの一部を紹介しています!