隠れた名盤!
今日は女優の藤田朋子さんが1990年にリリースした2ndアルバムを紹介します。
デビュー作『THE WOMAN IN ME』から1年後にリリースされた本作品は6曲目の「Marshmallow Words」を除けば全て英語で歌われており、デビュー作同様にポニーキャニオンの洋楽部門からリリースされています。彼女の英語の上手さもあり、まるで洋楽のCDを聴いているような感覚に陥ります。ポップスからロックチューン、そしてバラードまで1曲1曲が力強い個性を放ち、良曲揃い。また、藤田朋子さんの歌唱力にもさらに磨きがかかっています。これは隠れた名盤ですよ!!
レビュー
藤田朋子『COLORS OF LOVE』(1990年)
- Cheez, Pleez
- I'm Ready For Love
- Shooting For The Stars
- Run To Him
- More Than Just A Feeling
- Marshmallow Words
- Rainy Night
- Color Me With Love
- Time To Say Goodbye
- Home
お気に入り度:
★★★★★ ★★★★☆(9.5/10)
(1)Cheez, Pleez
童謡かと思わせるようなメルヘンチックなイントロ(←個人的にはこういうの大好き!)を経て始まる、打ち込みサウンドによる軽快なミディアム・ポップ・チューン。作詞を藤田朋子さん本人が手掛けています(クレジット上はTOKO名義)。<Cheez>とはチーズのこと。そう、これは彼女のチーズ愛を歌った曲なのです!
(2)I'm Ready For Love
アルバムの序章的な1曲目が終わると、間髪入れずにアクセル全開でこのスピーディーなロックチューンに突入! 藤田朋子さんの力強いヴォーカルが気持ち良く突き抜けていきます。しかも、キャッチーでメロディアス! 名曲!
(3)Shooting For The Stars
ボサノバ風の美しいサウンドが聴き手を包み込みます。心地良いリズムとメロディは、満天の星空と南米の大地をイメージさせ、藤田朋子さんの温かくて透明感のある歌声に癒されます。これも是非一度は聴いて欲しい名曲!
(4)Run To Him
とても美しいバラードです。サウンド、メロディ、ヴォーカル・・・何もかもが美しくて切ないです。サウンドのアレンジがまた絶妙なんですよ。そして、間奏部分からエンディングにかけて吹きまくる哀愁たっぷりのハーモニカ・ソロも絶品!!
(5)More Than Just A Feeling
デビュー作『THE WOMAN IN ME』に収録されていた「Living Dangerously」や「Fall Out Of Love」の流れにある、ややロック寄りのハードポップで、こちらも歌メロが非常にキャッチー! ここまで捨て曲なし、と言うか良曲しかないというのが凄いです。
(6)Marshmallow Words
アルバム中、唯一の日本語詞の曲。パーカッションを主体とした不思議な曲でかなり実験的なアプローチがなされています。と言えば聞えはいいかも知れませんが、異色過ぎてアルバムの中では完全に浮いてしまっています。色々な口調での「語り」パートも厳しいですね。実験的なアプローチも上手く作用していません。はっきり言って、つまらない曲だと思います。そしてこの曲の罪はアルバムの素晴らしい流れをここでぶった切っていることですね。もし仮にこの曲が好きだという人がいたとしても、これには異論はないはずです。この曲がなければ、アルバムはパーフェクトでした。
(7)Rainy Night
安心して下さい! この曲からはアルバムのラストまで名曲のオンパレードです! まずは雨のSEから始まる「Rainiy Night」。イントロのメロディからして、クサ過ぎて名曲の予感しかしません。そして事実、名曲です! 聴きやすいミッドチューンで、弾むような、それでいてちょっと切ないサビメロはまさに日本人好み!
(8)Color Me With Love
こちらもポップでキャッチーでキュートな名曲! サビの部分なんかは女性向けのCMとかに使われてもおかしくないレベルのクオリティとインパクトがあります。もちろん、この曲がアルバムからのシングルカットでした。こんなに良い曲がなぜヒットしなかったのか、実に不思議です。
(9)Time To Say Goodbye
親しみ易いメロディを持つミディアム・バラードの名曲。この曲における藤田朋子さんのヴォーカルも素晴らしい! この曲と次の「Home」は聴いているとミュージカル的な要素を感じますね。
(10)Home
アルバムラストを飾る、バラード。しっとりと始まり、徐々にドラマティックに盛り上がりを見せていきます。ヴォーカルの感情移入と表現力は圧巻で、曲は感動のうちにエンディングを迎えます。
まとめ
デビューから1年でこんなにも変わるとは、驚きです。最初から最後まで名曲のオンパレードでアルバムの構成も素晴らしいです。だからこそ、その流れを分断している(6)「Marshmallow Words」の存在が残念!
いずれにせよ、素晴らしいアルバムですよ。ポップでキャッチーかと思えば、時にヴォーカルは切なく、そして美しいメロディも満載。誰が歌っているのかを伏せた状態で聴かせたなら、まず、日本人の女優が歌っている作品とは思わないでしょうね。洋楽好きな方も騙されたと思って一度は聴いて欲しい作品です。
試聴音源がないので、私のレビューを読んでこのアルバムが気になった方は是非中古CDを探してみて欲しいなと思います。再発しないかなあ。