Hiroです!
今日はメタル・オペラ・プロジェクト、<AVANTASIA>の新作『Moonglow』をレビューします!
AVANTASIAとは
ドイツ産パワーメタル・バンドEDGUYの中心人物でもあるトビアス・サメットが、自己の構想の下にスタートさせた、メタル・オペラのプロジェクトです。
第1作目である『The Metal Opera』は2001年にリリースされ、トビアスはそこでマイケル・キスクをアルバムに参加させることで、当時まだ隠居状態にあった彼をシーンに呼び戻すことに成功しました。
これが最初の一歩となり、マイケル・キスクは再びシーンの表舞台で活躍するようになり、UNISONICへの参加~HELLOWEENへの復帰~PUMPKINS UNITEDでの活動へと繋がっていくのですが、それはまた別のお話ということで。
トビアスはその後もEDGUYの活動と並行してAVANTASIAでもアルバムをリリースし、ワールド・ツアーも行うという、実に精力的な活動をしています。
アルバムには毎回メタル界の大物ミュージシャンが多数ゲストで参加し、素晴らしい楽曲に華を添えているのですから、人気が出ない訳ないですよね!
今回紹介する最新作『Moonglow』は8枚目のアルバムとなります。
参加ミュージシャンも相変わらず豪華で、主だったところだけを見ても、
- ハンズィ・キアシュ(BLIND GUARDIAN)
- キャンディス・ナイト(BLACKMORE'S NIGHT)
- ロニー・アトキンス(PRETTY MAIDS)
- ヨルン・ランデ(元MASTERPLAN)
- ミレ・ペトロッツア(KREATOR)
- ジェフ・テイト(元QUEENSRYCHE、現OPERATION MINDCRIME)
- マイケル・キスク(HELLOWEEN、UNISONIC)
- エリック・マーティン(MR.BIG)
- ボブ・カトレイ(MAGNUM)
・・・という、錚々たる顔ぶれとなっています!
実際のCDはこんな感じ!
非常にドリーミーな、そしてちょっとグロテスクでもある、アートワークが目を惹きます。
歌詞カードにも美しいイラストが添えられています。
帯! 改めて参加メンバーが凄いッ!!
期待でワクワクが止まりません!!
ちなみに、本編のインストゥルメンタルCDが付属した2枚組仕様の初回限定盤もリリースされています。
レビュー
TOBIAS SAMMET'S AVANTASIA『Moonglow』(2019年)
(1)Ghost In The Moon
(2)Book Of Shallows
(3)Moonglow
(4)The Raven Child
(5)Starlight
(6)Invincible
(7)Alchemy
(8)The Piper At The Gates Of Dawn
(9)Lavender
(10)Requiem For A Dream
(11)Maniac
-bonus-
(12)Heart
Produced by Sascha Paeth & Tobias Sammet
Tobias Sammet(vo/key/b)、Sascha Paeth(g/b)、Michael Rodenberg(orchestration/key)、
Felix Bohnke(ds)
満足度:
★★★★★ ★★★★☆(9.5/10)
(1)Ghost In The Moon
トビアスのヴォーカルによるカットインで始まる、躍動するメロディに溢れた曲。
ピアノの弾むような美旋律が良い味出してます。
10分近い大作ですが、それを感じさせない構成はさすが!
難解さはなくてむしろ聴き易い歌メロが特徴で、ゴージャスなバックヴォーカルは時にSAVATAGEのロック・オペラ曲を彷彿させます。
この曲のみ、トビアスが独りでヴォーカルをとっています。
(2)Book Of Shallows
メロディック疾走チューン!
この曲からトビアス+ゲスト・ヴォーカルという組み合わせで進んでいきます。
この曲のゲスト・ヴォーカルが凄い!
ハンズィ・キアシュ、ロニー・アトキンス、ヨルン・ランデ、そしてミレ・ペトロッツアという錚々たる顔ぶれ!
それぞれのヴォーカリストの特徴を掴んだ上でのパート分けが実に良いです。
個人的にはハンズィがパワーメタルを唄うの、久し振りに聴けて嬉しかった。
アグレッシヴなパートでのミレのヴォーカルも迫力あり!
(3)Moonglow
穏やかな雰囲気ではじまり、徐々に盛り上がっていくファンタジックなチューン。
BLACKMORE'S NIGHTのキャンディス・ナイトがこのアルバム中、唯一の女性ヴォーカリストとしてゲスト参加し、美しくも力強い歌声を響かせてくれています。
(4)The Raven Child
何と11分の大作です。
ゲスト・ヴォーカルはハンズィとヨルン。
序盤はケルティックな雰囲気で静かに始まり、曲が進むに連れ、ドラマティックに盛り上がって行きます。
透明感のあるケルティック・ハープの音色が素敵!
歌メロは叙情的で、この手の曲はハンズィにぴったりですね。
ヨルンも実に渋い歌声を聴かせてくれます。
長いギターソロはサシャ&オリヴァー・ハートマン。
(5)Starlight
ロニー・アトキンスをフィーチュアした、キャッチーでスピーディーな曲。
トビアスのハイトーンヴォイスとロニーのエモーショナルな歌声との絡みは最高じゃないですか!
曲をコンパクトにまとめたのもGOOD!
(6)Invincible
この曲は元々は次の曲「The Alchemy」のイントロとして書かれたそうです。
しかし、そのイントロが発展させているうちに、徐々に大掛かりになってきたので、1つの曲として独立させたとのこと。
ジェフ・テイトの素晴らしいヴォーカルをフィーチュアした、ややダークで物悲しい雰囲気のバラード。
(7)The Alchemy
前の「Invincible」からシームレスに、ミステリアスな雰囲気で始まるミッドチューン。
サビは一転してキャッチーに!
驚異のヴォーカリスト、ジェフ・テイトの歌唱力が凄過ぎる!
彼の渾身のヴォーカルは聴く者の魂を揺さ振りますね!
(8)The Piper At The Gates Of Dawn
7分超えのメロディック・スピード・メタルで、ロニー・アトキンス、ヨルン・ランデ、エリック・マーティン、ボブ・カトレイ、ジェフ・テイトが参加!
錚々たるメンバーが次々と熱唱していく様は感動もの!
泣きの要素をふんだんに盛り込んだギターソロも素晴らしい!!
(9)Lavender
イントロのドラマティックなストリングス・パートとそこからキャッチーな歌メロが入ってくる部分に注目!
ボブ・カトレイがゲスト参加した躍動感溢れるミッド・チューンで、サビの盛り上がり方やオペラティックなコーラスワークは実に爽快かつ感動的です。
(10)Requiem For A Dream
真打登場!!
ゲスト・ヴォーカルは待ってましたのマイケル・キスクです!
クラシカルで美しいイントロから一転、飛翔系のメロディで疾走開始!!
途中、クールなベースラインもビシバシ決めていきます。
もう、今年のBest Tuneはこれで決まりかって位に最高に劇的でカッコいい、疾走パワーメタルに思わずガッツポーズを決めちゃいました。
トビアスとヴォーカルを分け合う、キスクのハイトーン・ヴォーカルが伸びやかに天を翔けていきます!!
もう、最高以外に言いようがありませぬ。
ファンは咽び泣くがいい!
(11)Maniac
本編ラストを飾るのは映画『フラッシュダンス』で有名な、マイケル・センベロの1983年のヒット曲「Maniac」。
実に素晴らしい、キャッチーなメタルチューンに仕上がっています!!
ソウルフルなヴォーカルを披露しているのはエリック・マーティン。
(12)Heart
こちらはボーナストラックとなります。
メロディアスなハードロック・チューンでヴォーカルはトビアスのみ。
まとめ
素晴らしい作品です!!
最初から最後まで素晴らしい楽曲のオンパレードで全くだれることがありません。
ゲスト陣も本当に豪華で、そのパート分けも楽曲にビシッとはまっています。
溢れんばかりのメタル愛と情熱を持って素晴らしい楽曲を生み出し、多数のゲストをその個性に合わせて配置した彼の判断はまさに適材適所で、本当にトビアスは天才!!
メタルオペラと謳っていても、難解さは皆無ですし、どの曲も強力で歌メロはキャッチーなので非常に聴き易いと思います。
メロディアスな音楽が好きな方は是非、このアルバムをチェックしてみて下さい!!
そして、オフィシャルによってアップされている試聴動画は何と、アルバム全曲分!!
しかもさわりとかじゃなくて、フルですよ!
フル!!
素晴らしいですよね。
十分に試聴して、本当に良いと思ったら購入して欲しいというスタンスなのでしょうね。
逆に言えばそれだけ、この作品に自信があるということなのでしょう。
このレビューの中で気になった曲があったら、是非試聴してみて下さいね。