X「BLUE BLOOD」(1989年)
(1)PROLOGUE(~WORLD ANTHEM)
(2)BLUEl BLOOD
(3)WEEK END
(4)EASY FIGHT RAMBLING
(5)X
(6)ENDLESS RAIN
(7)紅
(8)XCLAMATION
(9)オルガスム
(10)CELEBRATION
(11)ROSE OF PAIN
(12)UNFINISHED
TOSHI(vo)、HIDE(g)、PATA(g)、TAIJI(b)、YOSHIKI(dr / piano)
お気に入り度:
★★★★★ ★★★★★(10/10)
Hiroです!
今日はXの2ndアルバムにして、メジャーデビューアルバムでもある、『BLUE BLOOD』を紹介します。
本作はリリースされた最初の年だけで60万枚の売り上げをした名盤で、このアルバムのおかげでXは一躍トップアーティストの仲間入り! 日本中にX旋風が巻き起こるのでした。
かく言う私も、このアルバムは何百回と聴き込み、彼らのライブに足を運んだものです。懐かしい! それにしても、ですよ。今改めて振り返ってみて、こんなにも激しい音楽がこれほど大勢の人々から熱狂的な支持を得ていたなんて、リアルタイムで体験してきた自分が言うのも何ですが、ちょっと信じられません。何しろ、彼らのやっている音楽は完全にメタルですからね~。それほどまでに人を惹き付ける魅力がXの曲にはあったということですね。
キラーチューン満載の超名盤!
METALLICAにおける『Master Of Puppets』、HELLOWEENにおける『Keeper Of The Seven Keys PartⅡ』、JUDAS PRIESTにおける『Painkiller』、IRON MAIDENにおける『Seventh Son Of A Seventh Son』、そしてこのXにおいては『BLUE BLOOD』である!! とにかく、メタル史上残る超名盤なのだ!!
次作『Jealousy』も名盤ですが、メタラーにとってはやはり『BLUE BLOOD』でしょう。スラッシュ、メロディックパワーメタルからバラードに至るまで、このアルバムにはX(と言うか、YOSHIKI曲)の魅力が凝縮されています。サウンドはお世辞にも良いとは言い難いのですが、スラッシーな曲では、逆にその荒いサウンドが曲の激しさと共にメタル耳には心地良いと感じるのです。
(1)「PROLOGUE(~WORLD ANTHEM)」はアルバムの幕開けを宣言するインストで、実はこの曲はフランクマリノ&マホガニーラッシュのカヴァーです。この壮大で優雅なメロディが心の琴線を刺激していきます・・・! これがなきゃ始まらないっ!!
そして、このイントロから次の「BLUE BLOOD」への流れが神展開!
(2)「BLUE BLOOD」。いきなり挨拶代わりのキラーチューン! スラッシーな高速リフと怒涛のドラミングで度肝を抜かれます。やっていることは殆どスラッシュメタルなんだけど、メロディの煽情力が凄まじい!! 流麗でメタリックなツインリードも素晴らしい!! これぞ、キラーチューン!! こんな曲を作れるYOSHIKIは凄いです! 歌詞も含めて個人的には「X」や「紅」よりも好きです。
(3)「WEEK END」はYOSHIKIがロックンロール作ろうとしたら、哀しく切ないハードロックになってしまったというエピソードがある曲です。歌詞のテーマも「自殺」ですし。クリーンなギターとベースの絡みがカッコいいイントロから曲の世界に引き込まれてしまいます。適度にノリもあるのですが、“手首を流れる血を~” の部分から急に切ない歌メロ(YOSHIKI節)になるところがたまらないです。名曲!!
(4)「EASY FIGHT RAMBLING」はメンバー全員の共作による、カッコいいロックンロール! アルバムの中では他の疾走メタルチューンやバラードが名曲過ぎて、あまり目立たないのですが、これも凄くいい曲です。
(5)「X」。疾走キラーチューン! YOSHIKI曲。嵐のように激しいリフで疾走開始! メタリックなサウンドに乗る哀愁の歌メロ。ツーバスのドコドコ感も心地いいです。 ライヴの、“Xジャンプ” でもお馴染みのサビは激アツ!
“X 感じてみろ” “X 叫んでみろ” “X 全て脱ぎ捨てろ”
今聴くと、ちょっとクサ過ぎるか!?(爆)
サビの後に約1分弱に渡って登場するツインリードがとにかくメロディアスでクサいです。
(6)「ENDLESS RAIN」はX史上、いや、メタル史上に残る最高のバラードの1つで、YOSHIKIの繊細なピアノとオーケストラをフィーチュアした、美しい曲です。 Bメロの部分からバンドが入るという構成も好きです。後半に登場する叙情的なギターハーモニーも素晴らしいッ! もちろん、歌メロも素敵ですし、歌詞も心に染み入ります。
“眠りは麻薬 途方にくれた 心を静かに溶かす”
あと個人的に目玉だと思っているのがこの曲のイントロで、優しいピアノに寄り添うが如きTAIJIの繊細なベースが美しい! 言うまでもなく、こちらもYOSHIKI曲です。
(7)「紅」。最初、“くれない” と読めなくて、“べに” って読んでいたのも懐かしい思い出です(笑) 疾走キラーチューン! 前作にも収録されていましたが、あちらの方は英詞。こちらは日本語の歌詞でリメイク。イントロ部分にストリングスパートを追加し、一層ドラマティックになりました。大仰で、歌メロも歌詞も凄くクサいのです!!
懐かしさと哀愁を運んでくるストリングスのメロディが消え行く中、アコギによる静かなイントロが始まります。途中からTOSHIのヴォーカルが合流しますがここではまだ静かに、じっくりと歌い上げるのみ。イントロのヴォーカル・パートが終わり、その余韻がフェードアウトするのと同時にシンバルの音がフェードインしてきて、クールなギターサウンドと共に疾走開始! クサい歌詞を歌いながらメロディアスなAメロ→Bメロ→Aメロ→Bメロと来て、ここでギターソロだ! ツインリードはHELLOWEENって感じですが、途中リズムチェンジもあり、ジャパメタって雰囲気も醸し出しています。この素晴らしいギターソロの後に、サビが登場! これがまたクサい!! ラストのサビの部分に被さってくるストリングスも最高!!
(8)「XCLAMATION」はHIDEとTAIJIの共作。インストで、前半は民族楽器も使ったミステリアスな作風で、インドのボンベイ(ムンバイ)で収録されたとのこと。後半はTAIJIのチョッパーを用いたクールなソロで始まります。HIDEのギターとの絡みも聴き所で、この張り詰めた感じが良いです。
(9)「オルガスム」はスラッシーかつパンキッシュに暴れまくる怒涛の激走チューン! こんなにも速く短い曲(2分47秒)なのに歌メロはキャッチーだし、クールでメロディアスなギター・ソロや高速ベース・ソロをぶち込んでくるし、YOSHIKIは狂ったように叩き続けているし・・・とにかく凄まじい曲です! 特に、サビの部分でのツーバスが凄過ぎてやばい! これもYOSHIKI曲。
(10)「CELEBRATION」 はHIDEの曲。HIDEらしいノリの良いロックンロールで、とてもキャッチー! それでいてツインリードもあるし、TAIJIのチョッパーも飛び出す! このセンスには脱帽。
(11)「ROSE OF PAIN」!! ここに来て本作最大のクライマックスが登場!! この曲は約400年前に実在した、伝説の殺人鬼エリザベス・バートリをテーマにした、何と12分にも及ぶ大作! しかも、フルオーケストラを導入!
チャーチオルガンの優雅な調で幕を開け、その音がフェードアウトしたところで、ギターが有名なバッハの「フーガ ト短調」のメロディを奏で、この時点で度肝を抜かれます。曲の前半はスロー~ミドルテンポで展開していきます。寂寥とした中にも美しいメロディが随所で聞かれます。叙情的なギターソロの後に狂気を感じさせるピアノソロが登場し、怒涛の後半に突入! ギターが、ベースが、そしてドラムが炸裂し、オーケストラをバックにスラッシュ的な速さで疾走開始! 激しく暴力的に突き進むも、途中で緩急をつけ、叙情フレーズも聴かせるという圧倒的な構成力で狂気の世界を描き切るッ! 凄いとしかい言いようがないです! 12分という長さを感じさせずに一気に聴けてしまう、説得力のある構成。YOSIKIの天才振りを発揮した名曲中の名曲!
(12)「UNFINISHED」は前作にも収録されていましたが、こちらは完成形。YOSIKI作のバラードで、歌メロもサウンドも何もかもが美しくて、そして優しい・・・。流麗に踊るYOSIKIのピアノソロが心の琴線を刺激します。
12曲中実に8曲がYOSIKIの手によるもので、Xのアルバム中最もメタリックで美旋律や叙情美に溢れたアルバムだと言えます。スピードメタルあり、スラッシュメタルあり、大作あり、ロックンロールあり、そしてバラードありの素晴らしい作品です。惜しむらくは音質の悪さでしょうか。リマスター盤が出ているようなので、いずれ入手してみたいと思います。その時は比較レビューします。
追記:2017年3月17日:リマスター盤のレビューをアップしました!!