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陰陽座 1st Album『鬼哭転生(きこくてんしょう)』レビュー



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鬼哭転生


今日は妖怪ヘヴィメタルバンド、陰陽座の記念すべきデビューアルバムを紹介します。

正統派のハードロック/ヘヴィメタルを根底に、独自の世界観と和のテイストを融合させるという手法はこの時点で既に確立されています!

一度はまると抜け出せない不思議な魅力がある作品です。


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レビュー



陰陽座『鬼哭転生(きこくてんしょう)』(1999年)

(1)降臨
(2)眩暈坂
(3)鬼
(4)逢魔刻
(5)文車に燃ゆ恋文
(6)氷の楔
(7)鬼斬忍法帖
(8)百の鬼が夜を行く
(9)陰陽師
(10)亥の子唄

Produced by 瞬火

黒猫(vo)、瞬火( vo&b)、招鬼(g)、狩姦( g)

サポートメンバー:河塚篤史(ds)

お気に入り度:
★★★★★ ★★★★(9/10)

 

(1)降臨(こうりん)

アルバムの序章でもある大仰かつ不気味さも感じさせるインスト。


(2)眩暈坂(めまいざか)

瞬火による「この世に 不思議なことなど 何も無い」という台詞で始まる曲で、最初から最後までヴォーカルをとるのは何と瞬火氏。黒猫嬢は中盤の語りに徹しています。京極夏彦氏の小説『姑獲鳥の夏』を題材としていて、曲の冒頭に登場した台詞はこの小説からとられています。そして、眩暈坂とはこの小説に登場する地名でもあります。アップテンポのメタルチューンですが、怪しさとおどろおどろしさ満載です。曲の展開も一筋縄では行きません。黒猫嬢の語りに背筋がぞくっとなりました!



(3)鬼(おに)

招鬼氏作曲。アップテンポでリフがかなりかっこ良いメタルチューン。瞬火氏のねちっこいヴォーカルと黒猫嬢の民謡風ヴォーカルが最高にマッチしています。転調してからの静寂パート~アグレッシヴなインストパートの展開も素晴らしいです。名曲!


(4)逢魔刻(おうまがとき)

ミッドテンポで聴き手に迫ってくる、これまたかなりおどろおどろしい曲です。ドゥーミーです。Aメロでの瞬火氏の怪しいヴォーカルとBメロでの黒猫嬢の美しい裏声。男女ツインヴォーカルの特徴を活かした陰陽座ならではの曲だと思います。後半は叙情的な展開を見せ、特にCメロやエンディングのギターソロのメロディに涙!!

 

 (5)文車に燃ゆ恋文(ふぐるまにもゆこいぶみ)

陰陽座がラヴソングを作るとこうなる? 割とスピーディーで曲調としては、演歌+メタルと言ったところでしょうか? 黒猫嬢のヴォーカルに引き込まれていきます。リズムが意外とダンサンブルですね! 唸るベースや流麗なフレーズを決めるギターソロもカッコいいです。

 

(6)氷の楔(こおりのくさび)

黒猫嬢が作詞作曲を手掛けた、雪女をテーマにした絶品バラード。サビの哀し過ぎるメロディが心に染み入ります。氷の冷たさを表現しているシンセの音も素晴らしい。


(7)鬼斬忍法帖(おにきりにんぽうちょう)

忍法帖シリーズの記念すべき第1作目。山田風太郎の『忍法帖シリーズ』のオマージュで、黒猫嬢のパワフルなヴォーカルが攻めてくる、現在でもライヴでは欠かせない疾走チューン。IRON MAIDEN風のギター・ソロがまたいいんだな! 名曲ッ!


(8)百の鬼が夜を行く(ひゃくのおにがよるをゆく)

瞬火氏と招鬼氏の共作。おどろおどろしくも、歌メロは意外とキャッチー! 目まぐるしく変わっていく、緊張感のあるメタルチューン。現在のライヴでも演奏される、陰陽座ならではのツインヴォーカルの名曲。



(9)陰陽師

黒猫嬢が作詞作曲を手掛けた、大仰な和風様式美メタルの傑作!! その名の通り、曲中では陰陽師と魔物との戦いが描かれています。神秘的なシンセの音に導かれ、まずは瞬火氏の語りが始まります。バックでは黒猫嬢のコーラスが美しく、儚く響く・・・。語りを含むイントロが終わると、メタリックに疾走開始! Aメロは黒猫嬢、そしてBメロは瞬火氏がヴォーカルをとり、黒猫嬢がメインのクサいアニソン風のサビに突入! 和の雰囲気を纏ったメタルなんだが、いや、ホントにアニソンのノリなのよ。間奏部分の展開も凄いです。狩姦氏の流麗なギター・ソロ、静寂パートでの冷たいピアノをバックに「今は昔・・・」と語る黒猫嬢、そして哀愁のギターソロ・・・と、とにかくクサイ!! 素晴らしいッ!


(10)亥の子唄(いのこうた)

これは地方民謡を瞬火氏がメタルにアレンジした曲です。前半はまるでスラッシュ・メタルの様な激しいサウンドと野郎共のアグレッシヴ・ヴォイスで突き進みます。転調してからのデス声コーラス、そして何かに取り憑かれた様に弾きまくるギターソロも圧巻! 曲の後半は突如、民謡に変化します! 黒猫嬢の民謡風ヴォーカルが聴かせます! たまりませんッ!! 「ほんほんえーい」の部分はもはやお祭りムード!

 

 

まとめ


サウンド面や技術面においては、まだまだ荒削りな部分もあるのは確かです。しかし、陰陽座の持つ独自の音楽性はこのアルバムではっきりと分かると思いますし、何と言っても捨て曲はありません。というか、どの曲も素晴らしい! この頃はまだ良い意味でのおどろおどろしさも健在ですね。起伏の激しい、曲の展開や様式美的なフレーズを構築していくツイン・ギター、そして男女のツインヴォーカルの妙が楽しめる名盤です。

ちなみに。2002年と2004年に再発盤がリリースされましたが、こちらはリマスター&リミックスが施されています。オリジナルに比べて音質がクリアになっています。ドラムのサウンドは結構変化がありますね。ただ、曲によってはギターサウンドが埋もれてしまっている箇所もあります。例えば、「陰陽師」のエンディングのギター・ソロが奥に引っ込んでしまっていて、凄く残念。